姫路散歩

或る日。

ぱっかーん、と午後の時間が出来た。


思い立ち、姫路に出る。


お城は修繕中だけど、見学は出来る。
と、ラジオで言っていた。
今は黒田官兵衛さんで賑わってる模様。


思いがけず、姫路は街だった。
駅に着いて、遠目にお城の一部が。


あー、見えたなあ。


それで満足してしまった。


とにかく寒いから。
大通りをてくてく歩き出す。

へえ、夢前お蕎麦に、姫路おでん
姫路おでん
あ、でもお休みだわ。


なんてぼんやり歩いていたら、古本屋の看板発見。


ピーン。
鬼太郎アンテナが立つ。
何だか、いいぞ!


柴田翔さんの本が由来の古書店。→http://saredo.exblog.jp/
素敵な店主さんは、なんと私の職場のある町ご出身。
姫路の前は、加古川でブックカフェをされてたそうだ。


小さいカウンターに座る。
まあ、これは。
居心地いいわ〜。


私の職場は、車谷長吉の小説ゆかりのコアなエリア。
夜光虫の気怠い名残は今も健在で。


そんな話に、本の話に、お店の話に。
温かいチャイを飲みながら、すっぽり寛ぐ。


加古川のブックカフェでは、お昼ごはんも出していたそうだ。
気づいたら、何だか忙しくなっていて。
好きな本と親しむ時間が減ったんだ、と。
なんやかやとあり、閉店。
タイミング良く、ここに移ったそうだ。


静かに、うなづく。


増やすまいと思いつつ、ついつい二冊購入。
本を目の前にすると…。
ねえ。


村上春樹さんのと、詩集と。


村上さんのは『羊男のクリスマス』
昔の春樹さん、好きなんだなあ。
過日に、ちょうど知人のすすめで神戸ピノッキオでピザを食べたから。
佐々木マキさんとのコラボだし、目にとびこんできた。


詩集は、素敵な二階から見つけた。
急な階段といい、梁の感じといい。
ちょっと、ほろんとする。


高階杞一さん『早くうちへ帰りたい』
望月さんの装丁の美しさがまず。
吉祥寺の小さな出版社だそうだ。
始めを目で拾い、ぐっとひきこまれた。
何かで、一部を読んだことがあったようにも思えて。
今日、ベッドの中でゆっくり読もう。


武者小路実篤のも欲しかったのだけど。
次回のオタノシミにする。


彼女から美味しいお店を幾つか教わり、店を後にする。
でも、あいにく悉くお休み。
まあ、次回のオタノシミが増えたということで。


寒いし、銭湯にでも入って帰ろうかなあ。
でも、お腹が空いたなあ。


と、またピーン、と鬼太郎アンテナ。
途中の明石で明石焼を食べて帰ることにすれば〜。


すきっ腹に生ビールをグイとやったから、ポワン、となる。
メニューは、玉子焼(明石焼)と飲み物だけ。
シンプルで無駄かない、いいお店だった。


お出汁に沢山の刻んだミツバがぴったり。
ふわふわ〜。
はふはふ〜。


たまらなく、ぐびっと。


あれ?
ほろ酔いで、目がおかしくなったのか。
お皿が斜めでないかい?


不思議そうに眺めていたら、店主さんが。
アツアツの鉄板から返すときに持ち手がお皿に付いてる。
だから、元々斜めなんだって。
へえ、面白い。


いやー、美味しかった。
明石焼、いいなあ。


ポワンな感じで、駅前のスーパーに寄る。
お弁当のおかずを作らなくちゃなあ。
ヒジキに、ゴボウに。
あ、ピーマンをエジプト塩で炒めようかなあ。
お、ヤスダの発酵バター、美味しそう。


いつもと違うスーパーって、何だか愉しい。


気づいたら。
姫路臭なしのヘンテコな荷物で家路に着く。


でも、楽しかったなあ。


さて、と。
詩集を楽しみに、お弁当を仕込むのじゃ。


ヘビさんみたいな
フランスパンみたいな

にゅーん、と。