還ってきた。

めいちゃんからの便りで久しぶりに星ヶ丘へ向かう。


私が愛して止まなかった風景。
私が大事に思っていた風景。


やっぱり愛しくて
やっぱりこれからもここから眺めたい風景が


そこにあって。
玉井さんはきらきらとしていて。


そうなんだ。


私は、またえぜこを開きたいんだなと実感した。


といっても、資金もなく、什器もなし。
明かりもない。
ケーキだってあれから全く焼いてない。


なぜか残ったのは製氷機だけ。


不器用。
還ってきてから新しい職場に入ってつくづくと思った。


ふうふう。
息切れするように日々が過ぎる。
職場には家庭がある人ばかり。
私は私の面倒すら見れないテイタラクだ。


そんなんだけれど
一杯のコーヒーを
訪れてくれたその人を想い、ただ点てる


それを口にするちょっと緩んだその人の横顔を眺めた時。
或いは、外をぼんやり眺める横顔。
また、或いは本を読むその横顔。


そこに寛いだ人の存在がある。


それだけのこと。
ただ、それだけのことなんやけども、胸が一杯になる。


今の仕事もそれだけの想いで続けている。


訪問する少しの時間
一瞬でもホッとして
張り詰めた糸を少しだけ預けてくれたその人の存在を感じる時


じんわりと暖かな気持ちになれる。


その緩んだ空気を共有したい。


共有して何になるのか。


お店を後にすれば
訪問が終われば


また、その人はその人の日常に戻る。
そんな時間かあったことは隅に隅にやりながら日々を重ねていく。


だからこそだ。


だからこそ、その時に感じた気持ちを共有したい。
そこにいたから感じたこと。

そんな風にぼんやり自分を安心して放てる場所。
自分ち以外のそんな場所。


それだけのこと。


ああ。
それにしても、なんもないなあ。