デスマスクの裏側

クイズ好きの母のリクエストで必ず観ていた番組。

女性は中村梓さん、男性は浅井慎平さんがリーダーだった。
買ったチームのゲストには、スポンサーメーカーから賞品が贈られる。
湯沸かしポットとホットプレートがやたら印象的。

リーダーの2人に負けない正解率を保ちつつ。
しかし、リーダーやゲストの存在感を、場の空気を脅かさない。
でも、ちゃんと在るという彼女。


サスペンスものに彼女が出てきたら
100%犯人はこの人やでと、弟とやたら盛り上がっていた。


翳りのある表情は美しい。
でも、何だか幸の薄いというか、触れない方がいいというか
かといって、決して弱いわけでなく。


少なくとも当時の私たち姉弟には、主役級の存在感だった。


先日、思いがけず本屋で彼女を見かけた。
クイズ番組よりもう少し若い頃の写真。


綺麗だった。

しばし、じっと見入る。


そして、タイトル。

私は全く知らなかった。

安部公房とわたし

安部公房とわたし

確か、夫人が彼の亡き後にデスマスクを作ったはず。
何をとどめたくて、かたどったのだろう。


読了後、まずそれを考えてしまった。


安部公房とわたしとの生活はまったく無視され、
私は世間から透明人間にされてしまった」
とは、果林さん。


うーん。
やっぱり、これは言っておきたかったのか。
誰に向けて?


なんて、私如きが考えを巡らすより、
私の日々がまた巡るだけなんですけれども。


でも、表紙の彼女は綺麗だ。