ミュージアムに想う。

奈良に、出た。


ぼんやり歩いていたら。
鹿にぶつかってしまった。


「きゅーん」


と、静かに言われた。


奈良は、いい。


「きゃー」と、せんべいを手にした観光さんに群れる鹿。
それを遠巻きにみる鹿。
見向きもしない鹿。


鹿世界にもいろんな鹿がいるのだった。


私のこよなく愛する仏さまが、今、ミュージアムに在中だという。


ミュージアム


その響きに、戸惑いながらも、入場。


久しぶりにお会いした観音さまと菩薩さま。


すす払いをし、垢ぬけした感じではある。
ずり落ち気味だった光背や、装飾品も修繕中とのこと。
すっきり、シンプルな出で立ちだ。


やはり、美しいのだが。
いかんせん、ガラス越しというのが…。


美術品としての仏様。


しばし、長椅子に腰かけてぼんやりしていた。


次々に、訪れる人。


でも、手を合わせている人が、いない。


「なんだか、さびしいですなあ」


と、いつのまにか横に座った殿方が声をかける。
その方も、法華堂におられたときの姿を懐かしんでいるようだった。


2人してしみじみと、しばし語り合う。


「いやあ、スッキリしたよね〜」
と、次に座った殿方が声をかける。


「今まで、いろいろなもんを背負ってたけど、
 それもなくなって。スッキリしていいよね。
 ちょっと、仏様も休憩だよ、休憩。
 また、戻ったらさ大変だもんね〜」


なるほど、そういう見方もあるのだった。


でも、休憩中もこうして一目にさらされている。


ガラス越しだろうが、なんだろうが。
人々の営みを、静かにじいーと見守ってくらさっていることに変わりは、ない。


それでも。
こうして脇侍をかためる菩薩さまとの法華堂での御姿を、二度とお参りできないんだと思うと。


なんだか、淋しい。


奈良ですから。
もちろん、ちちろに寄りました。→http://www2.odn.ne.jp/chichiro/
まめすずちゃんは、柑橘祭りを静かに開催中。→http://mamesuzu-sweets.com/
今日も、しげきさんのおうどんを食べ損ねてしまった。
また、今度。


写真は、繭ちゃんの灯り(これはえぜこで撮ったもの)。
まめすずちゃんとこでも。
相変わらず、穏やかに呼吸していた。
寝息が聞こえてきそうなくらいに。


新作も良かった。
たらちね…、いいねえ。→http://shimofure.com/site/