オトーサンという男。

父が久しぶりに東京に帰っていた。
同窓会だそうだ。


今まではあまり、そういうものに参加するほうではなかった。
年をとったのだろうか、父も。


父は生まれも育ちも国立だ。
数年前、祖母がなくなったとき、3人で訪れた。
並木道が駅前からすうっとのびて、あいかわらず趣のある町だった。

駅近くのキャンパスや行き着けだった喫茶店にも連れて行ってもらった。
そのときの父はいつもより、むじゃきでウキウキさんだった。


父にも青春があったのだなあ。
しみじみ思った。


小さい頃は、父はニガテだった。
大好きな巨人が負けるとキゲンが悪くなる。
家族みんなで父の顔色をうかがっていたものだ。


京都の大学に合格したとき、ワタシは父の単身赴任先の福岡にいた。
てっきり不合格だと思って、天神などをぶらぶらしていた。
夜になって連絡がつき、合格を知った。
帰宅した父にそれを告げた。
すると、ささっと着替えて「行こうか」と。


後にも、たぶん先にも。
二人で夜にドライブにしたのはあれきり、だと思う。
呼子というところまで、飛ばして、イカのコースを食べた。
閉店間際だったけど、「この子、今日、大学に合格してね」と。
感動してしまった。


今でも、車窓からみたイカ釣り漁船の灯りをよく覚えている。


何年か先。

もし、父が亡くなるときがきたら。
この光景を思い出すのだろう。


って、父はいたって元気なのですよ(笑)。
ほぼ毎週金曜日。
カウンターに座って庭を眺めているのは、にわか庭師の父です。



お客さまからお借りした。
この方の作品って等身大でいいですね。
電車で読んでいたのですが、笑いがとまらずアヤシさ満開。
『オトーサンという男』も共感しまくりでした。
えぜこにも、置いてます。

ふつうな私のゆるゆる作家生活

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