夏休み・後編
いくつになっても、魅惑的な夏休みという響き。
さて、乗鞍からの帰路。
いつものコース。
なじみの町、高山に寄る。
古い町並みとコンパクトさがちょうどよく、ツレも私も好きな町。
イノダ、スマート、六曜社、築地、ソワレ、フランソア、静香、ゴゴ・・・。
これは京都老舗の喫茶店。
でも、高山にも、同じようにいい感じに時を刻んだような喫茶店が多々、ある。
今回は、前々から気になっていた“喫茶 ドン”に。
イスには白いカバーがかかっている。
カウンターには銀のトレーにバナナとオレンジ。
電話も懐かしい黒電話!←ジーコロ、ジーコロといっていた。
老舗な喫茶店の雰囲気がほわーんと、漂う。
メニューに店主あこがれのクリームソーダとウインナーコーヒーもしっかり。
パフェやケーキのメニューも豊富。
わくわく、する。
迷った挙句、王道のチョコパフェ。
うーん。
王道!
オーソドックスな懐かしい味。
コーンフレーク、フレッシュ、バニラアイス、チョコソース、バナナ、ウエハース。
「あんまり、小難しく考えなく、こんな風に作ったらいいんだわねえ…」
と食べながら、つい試作(思索?)中のパフェのことを、考える。
ツレのオーダーしたチーズケーキも一口。
これまた、すごい懐かしい図。
ちょっとネトっとしたクリームとスポンジがものすごく昭和。
きっと、これを愛してやまない常連さんがいるのだろうな、という味。
私もすでにファンになっている。
老舗とよばれるお店には、どこにでもそういうメニューがある。
それは店主だけが作るのではない。
愛される味は愛してくださるお客さまがいてこそ。
そして、そういうメニューがちゃんとあるお店にはいい空気が流れている。
ドンもとても、くつろげた。
何時間でもいれそうな。
来るのは初めてなのに。
えぜこは、どうしていこう。
どうなんだろう。
ふと、思う。
奇をてらったり、あれこれ欲張ったり、ズルをしたり。
そんなことはせず。
自分が美味しいと思えるものをひたすらていねいに、たゆまず、作りつづける。
つまるところ、そうなんだ。
いつも思っていることじゃあないか。
何度も悩んではそう思うのは、まだまだ自分の柱がブレてるのだろう。
だって、今のアンタにはそれが精一杯じゃないのさ〜
アンタはアンタの身の丈でやっていくしかないのだよ〜
などと、“場末哀歌”風に自分を励ましてみたりして。
なかなか難しいな。
ケ・セラ・セラって。