えぜこという名。

浜田真理子さん。

彼女を知ったのは、7年前くらいになるだろうか。松江のバーだった。

ちょっと飲み足りなくてツレとふらふらと歩いていたら、雨足が強くなり、ぱっと入ったお店。
照明が暗めで好み。先客のカップルがカウンターに座っていて、私たちは窓際のソファに。

緊張感のない静けさが心地よかった。雨でぼんやりにじむ景色をみながら、静かな声が響く。
“松江に雨が降る〜”というフレーズ。
ああ、いいお店見つけたなあと思った。

その声を聞いていると、なんだかウイスキーが飲みたくなった。
物腰の柔らかい店主さんにお聞きして、おすすめのウイスキーを選んでもらった。その時、聞いたのが「残れされしもののうた」だった。

帰りしな、その美味しいウイスキーと歌を歌っている人の名を聞いた。店主さんがCDを分けてくださった。それが、彼女のデビューアルバムだった。

今でも、ラフロイグ浜田真理子さんは私のなかでセットなのだ。


そして、店名のえぜこという名も彼女の曲にまつわる友人のエピソードから生まれた。

私の好きな彼女の1曲に英語の歌詞のものがある。友人の子どもはその歌い出しが“えぜこ”に聞こえるというのだと。そしてその曲が気に入っているようなんだと(当時、4歳なのにシブイ。しかし、成長した今、本人は忘れている。…そういうものだろう)。
後に、真理子さんにそのお話しをしたら、真理子さんの息子さんにも同じようなエピソードがあることを知った。
これはうれしいオマケ。


あの日、松江にいなければ。
あの日、急に雨が降らなかったら。
あの日、あそこで彼女の声に出会わなかったら。
友人にCDを貸していなかったら。
友人の子どもがあの曲を聴いていなかったら。


たくさんの出会いでカタチになったえぜこ。
出会いは大切だが、素通りする出会いもまたある。ここぞという出会いを自分の中にどう刻むのか、か。

なんて、少々おセンチ(死語?)になったので、ラフロイグ、飲んじゃおう。(風邪なので少なめで)