その訴えは。

叶う、叶わないとかでなく。


夢はいろいろと持つことはいいことだな、と。


巡り巡って


いいご縁とタイミングでいただいた時間。


友人の知人のお母様(←ややこい?)がチェンバロ奏者でいらっしゃり。


過日、送ってくださったコンサートの案内状。


その、演目の一行に目が釘づけに。



ぜひ一度、耳にし、目にしたいと思いつつづけて10年近く。

そして、その時はできれば、いや、絶対にこの曲で、と。

やさしい訴え (文春文庫)

やさしい訴え (文春文庫)

(…そういえば、気づいたら、ここのところ、小川さんの本のことばかり)


小川さんの作品は好きですが。


これは、ふいっと何度も読みかえしたくなる大切な1冊。


何度も読み返しては、

一度チェンバロの音色を聴いてみたい、と毎回強く想う。


『やさしい訴え』というのは、どんな曲なのだろう。


ずうっと。


ずうっと。


想っていました。


CDを探す


ということもできたのですが。

普段の私ならしていたかもしれないのに。


なぜか、それはせず。

今日まで来てしまいましたが。


その理由が、今日分かったようにも。


その訴えは、この上なく至福で、やさしかった。



築300年の旧家を移築したその空間の懐の深さと

縁側からの木漏れ日と

その光をふわりと浴びたチェンバロ

静寂だけど、凛とした

そして

初めて聴くのに、とても懐かしい音。


隣り合わせたご婦人とお話がはずみ、ふと、その方が。



「お寺にいるみたいやね」



ああ。


そうか、と。



知らぬ間に泪がついーっ、と。


帰りしな、鍵盤に触らせていただけましたが。


手が、心が、震えてしまいました。


ふう。


胸がいっぱい。