過ぎゆく春。
年に1回、マクドナルドに通う。
お目当ては、月見バーガー。
初秋になると、俄然そわそわしだす。
マクドナルドの“M”。
この時期は、この“M”が黄身に見えてしまって落ち着かない。
体にいいとか、悪いとか。
もう、どうでもよいのである。
毎日でもいいくらい、好きなのだ。
昼も夜も。
真理子さんのアルバムタイトル通り、である。
ただ、はっきりとした発売期間が明記されていない。
ので、とにかく通い詰める。
そして、或る日、突然、その終わりを知らされる。
静かにうなだれ、その場を去る。
でも、どこか安堵もあったりする。
そして、今年もよく食べたなあと感慨にふけるのである。
同じように。
ここ数年、春になるとスタバに通っていた。
お目当ては、桜スコーン。
何年か前に、たまたま待ち合わせで入ったときに出会ってしまった。
以来、通い詰め、買い占めてきた。
ああ、そういえば、そろそろじゃないか。
そう思っていそいそとむかった。
が。
はて?
見当たらない。
恐る恐る、ぱきぱきとした店員さんに尋ねる。
「今年はないんです」
こういうときのショックを何に例えたらいいんだろう。
「よろしかったら桜ラテや、桜シフォンがありますが…」
ああ。
さようなら、セイレーン。
- 作者: 梶井基次郎
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